(2012年3月28日その4)
長崎に来たら、ここを見なければ、とやって来ました。 ここは長崎の爆心地公園です。正面に見えるのは崩壊した浦上天主堂の壁の一部。 1945年(昭和20年)8月9日、原爆がこの頭上でさく裂しました。 7万人の市民が死亡し、7万人の市民が負傷。 壁の頂上に有る石像。 天主堂が被爆・崩壊したのち13年後に移設されたものです。 原爆はたまたま長崎に投下されました。 米軍の第一攻撃目標は北九州・小倉だったのですが、その上空の視界が悪かった為に、 第二目標であった長崎に投下されたのです。 左側は原爆落下中心碑、右側は天主堂の遺壁です。 原爆は「戦争の早期終結の為だった」というアメリカの釈明は大きな疑問が残ります。 大量殺戮という米軍の行為は正当化できないものでしょう。 今は平和な公園ですが、 当時は悲惨な光景が広がっていたことでしょう。 そばの長崎原爆資料館です。 人類史上初の、皆殺し兵器・原子爆弾の投下。 日本列島はアメリカ軍の厳しい空爆によって焦土と化した。 焦土化と原爆投下は明白な戦時国際法違反だが、なぜアメリカはこの作戦を選択したのか。 (・・・・『図説 アメリカ軍の日本焦土作戦―太平洋戦争の戦場』 ) 長崎原爆資料館内には 浦上天主堂の彫刻の実物大模型が有ります。 被爆当時の体験は思い出すのも苦痛という被爆した方の体験談。 ・・・人々の命を無惨にも奪い去り、生き残った者をも生涯の痛苦で苛む 原爆投下の非人道性は許されてはならず忘れてはならない。 60年以上経った現在でも、新たに発症するケースが見られるという原爆症。 浦上には原爆病院が有り、原爆の被害はまだ続いています。 ここで、昨年の福島の原発事故のことも思わざるを得ませんでした。 平和祈念像です。 ここから浦上天主堂の建つ丘が望めます。 (浦上の積み重なった歴史) 江戸時代、この付近には浦上のカトリック信者の秘密教会が有り、 丘の上には庄屋の家がありました。そこは迫害を受けた場所そのものでした。 幕末に居留地に外国人の為の大浦天主堂が造られ、 それを知ったここ浦上の住民は司祭に密会して信仰を告白し、(信徒発見) それがきっかけとなって、「浦上四番崩れ」と呼ばれる弾圧が始まります。 明治の世に変わったにもかかわらず、36人が殉教者となりました。 その後やっと信仰の自由を得た信者たちは、弾圧の場所であった庄屋の跡地を買い取り、 明治13年に浦上天主堂が出来ました。 その65年後、原爆によって浦上天主堂は破壊され、信者も多く亡くなりました。 投下した国はキリスト教の国、被爆したのは長崎です。 天主堂のすぐ横には 原爆で倒壊した旧天主堂の鐘楼部分が、 被爆当時とほぼ同じ場所に転がったまま 保存されています。 崩れた鐘楼のところに有る案内板です。 当時の写真です。原爆で崩壊しています。壁は残っています。 (当時の他の写真。) 浦上天主堂の廃墟は戦後13年目(1958年)に取り壊されました。 信者の祈りの場所に1959年に再建された今の浦上天主堂。 ここで一冊の本をご紹介します。 『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』 (高瀬 毅) この本で著者は、取り壊された浦上天主堂の廃墟は、 現存していれば広島の原爆ドームに匹敵する重要な遺産になっていたであろう、と 長崎原爆の隠された真実に迫っています。 少し沈んでしまった気分を転換して 次回は 「たそがれのオランダ坂散歩」 編です。
by ciao66
| 2012-04-13 18:02
| 九州はるばる
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Comments(6)
「戦争の早期終結の為」の大量殺戮…。
戦争は人の心を狂わせますね。恐ろしいです。 修学旅行で広島へ行った際、原爆資料館へ行きましたが その時は写真などの資料をほとんど正視できませんでした。 苦い思い出になっています。 核兵器の恐ろしさをもっと世界に伝え広めないといけませんね。 考えさせられる記事でした。
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ciaomami
at 2012-04-13 22:17
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私も修学旅行で長崎の原爆資料館に行きましたが、写真や資料は正視出来ませんでした。
心痛むし、出来れば見たくないものです。でも・・・ 「浦上天主堂の廃墟は、現存していれば広島の原爆ドームに匹敵する 重要な遺産になっていたであろう」という言葉は同感です。 原爆で倒壊した旧天主堂の鐘楼部分が、被爆当時とほぼ同じ場に、 転がったまま保存されているのには感動しました。(感動という表現でいいのかしら?) 見ると辛い思いをする人は沢山いるでしょうけれど、 繰り返さないためにも後世に残して行くべきものですね。
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ciao66 at 2012-04-14 09:11
ciaomami様、浦上天主堂の崩れた鐘楼はとてもインパクトがある物体でした。
原爆資料館の模型の天主堂はあまり感慨は無く、 爆心地の残骸も柱のように細い残骸でややインパクトは薄いのです。 鐘楼のところで、あぁここだったんだと、ずっしり伝わってきました。 天主堂の残骸の撤去については様々な議論が有ったようです。 原爆について立場の違いは色々あると思いますが、 「米国はなぜ2発の原爆を投下したのか」 (藤岡惇氏)http://ritsumeikeizai.koj.jp/koj_pdfs/59625.pdf の見解が意外な歴史的事実を書いていると思いました。
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ciao66 at 2012-04-14 12:47
junnote様、広島の原爆資料館は私も行きましたが、
壊れた三輪車の残骸が衝撃でした。 今回妻は、気の毒でとても見れない、と言って 私が大急ぎで見ている間、公園で待っていたのです。 「原爆投下は、米国兵士の命を救うためには全く必要のないものだった。 我々は日本に原爆を投下する必要はなかった。」 発言者は、アイゼンハワー第34代アメリカ大統領です。 アメリカにもこういう意見も有りました。 そして、「原爆投下は米国によるホロコースト(に比べられる大量虐殺)だった。」 というのが真相だと思います。 ※ ホロコーストとだけ書くと、一般的にナチスのホロコーストで、民族消滅目的であり、大量虐殺とは少し意味が違うと思い、()内を追加して訂正しました。
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Clearwater0606 at 2012-04-14 23:07
平和公園、懐かしいです。仕事に行く時、時々通ってました。もう、10年位前のことになりました。
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ciao66 at 2012-04-15 10:30
平和公園の名前通り平和な光景でした。これが何時までも続けばいいものですね。
平和祈念館にも寄り、お祈りしてきました。
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