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16. ローマ帝国のゲルマン防衛ライン、ザールブルク城塞へ

2015年5月18日、フランクフルトから電車に乗り、バスに乗り変え、ここへ来ました。
ローマ帝国時代のリーメス(Limes)と呼ばれる長城の遺跡、ここは世界遺産です。
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フランクフルトからBadHomburg(バートホンブルク)までSバーンで20分、
そこからバスで20分。城塞は地図の緑のマークのところ。
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 時間は少し前、バートホンブルク駅前で、5番の市バスが来ないと思って
そばの方に聞いたところ、その方も変だねと言っていたのですが、
「あなたのバスはあっちに来たよ」と別の人が言ってくれて、
2時間に一本のバスに乗り遅れそうでしたが、なんとかセーフでした。
(5番の乗り場は2つ有って、行先の違う方で待っていた。)

・・・・・・・・・・・

 バスを降りてまず目に入ったのがこれですが、城塞のそばの民家の跡?
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そばにはローマ人の好きな浴場跡も有りました。
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昔の城塞の様子でしょう。
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ここが入口です。誰かがいます。誰でしょう?
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ザールブルク城塞が造られたのはトラヤヌス帝からハドリアヌス帝にかけての頃。
時期は2世紀初頭です。でもこの銅像は、ローマ皇帝ではなく・・・
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実は、ローマ皇帝の姿をした、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世らしいのです。 
(ドイツ帝国最後の皇帝で、1次世界大戦の敗北により1918年に退位した。 )
ヴィルヘルム2世が命じてこの城塞を復元したので、その銅像だったようです。
(勘違いしますよね・・・背後に有るラテン語の碑文にはVILELMSⅡという文字が見え、WilhelmⅡのことかと思われますし、復元したことを賞賛されている気配なので、多分そうでしょう。)

中に入りました。城塞は土塁で四方を囲まれています。
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これは東側の入り口。
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土塁の上に上がってみました。
黒っぽい建物はローマの兵舎です。もちろん復元されたもの。
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子供たちの遠足だったのでしょう。熱心に見学しています。
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資料館に入りました。模型ですが、左から右へ伸びる線がリーメス(=境界線)です。
ローマ帝国はその線から下側、上はゲルマン人の世界。
下からのラインとリーメスが交わったところがザールブルク。
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これは当時の地図で、茶色のラインがリーメス。黄色い丸がザールブルク。
ライン川からドナウ川にかけて全長550kmも有りました。(Wikipediaより拝借)
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資料館の映画です。
AD.120年、最初は濠と木柵、周囲は森で、見渡すために監視塔が点々と有りました。
ローマ帝国とゲルマンの境界、ローマの防衛ラインです。
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AD160年、ローマの兵士たちと、城塞の様子がダブって写りました。もとは小さな兵営だったのですが、その頃には兵士、家族、職人、商人を含めて2000人の規模に拡大されていました。
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実物よりもむしろリアリティーを感じる映像。
周囲の様子が細かく描かれているからでしょう。
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なるほどこうだったのかと、
人物が写っているのがリアルなのでしょう。
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AD260年、ローマ帝国は弱体化してゲルマン民族の侵入が激しくなり、ついにリーメスは破られて、ローマはライン川の自然の防衛ラインに撤退し、ここは放棄されます。
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ローマ人たちの映画は終わって今度は実物、発掘された物と再現したものです。
道具類が結構そろっていますね。
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矢は再現したもの、矢じりは本物です。
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鋳物は本物でしょう。
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馬車(牛車?)の車輪が興味深かったのです。
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陶器や土器もいろいろ発掘されたようです。
これも良く揃っていますね。
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ガラス製品も!
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これは何でしょう?答えは・・・
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靴でした。ローマ兵の靴。上の写真は靴底の発掘品だったのです。
左の茶色の靴は再現したもの、右に並ぶ黒いのは本物の兵士の靴。
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ローマ兵士の囲碁のようなもの?
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発掘されたコインです。
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面白い展示物でした。
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ローマ兵がいるわけでもなく、2000年前の建物にしては壊れてもいないし、ローマの遺跡ならば、もっと古びているのですが、ここは再現されたものの限界、リアリティーは少し弱いかも。
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むしろ、このような光景のほうが想像力を掻き立てます。
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結局、注目すべきは兵舎跡では無く、森のなかのリーメス(境界線)なのです。
(絵は城塞のリーフレットからお借りしました。)
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こんな石の道しるべが有って、リーメスへ誘っています。
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”ZUM LIMES”(リーメスへ)の標識に従って、そちらへ行ってみましょう。
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次回は昔を想像しながら、リーメスに沿った森の中の道を歩いて、
ローカル線のSaalburg駅までのミニハイキングです。
by ciao66 | 2015-07-05 21:36 | ドイツを巡る2015 | Comments(2)
Commented by 変愚院 at 2015-07-08 16:06 x
リーメスという世界遺産、初めて知りました。
長城はローマ帝国とゲルマン人の世界の境界線になっているわけですね。
資料館も充実している様子で、その時代の様子がよく分かりました。
Commented by ciao66 at 2015-07-08 18:43
変愚院様、ローマ時代のドイツというのはなかなか想像しにくいものですが、あの深い森の存在がローマの進出を阻んで、ゲルマンの進出を止めるのが精いっぱいだったようです。
 同じリーメスでもイギリスのハドリアヌスの長城ははっきり残っていてアピール力満点。ドイツのリーメスはちょっと地味な世界遺産ですが、歴史ファンにとっては面白いところでした。
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