(2010年4月8日その9)
マドモアゼルお二人が乗っているのはアルルの「古代劇場」です。 出来たのは紀元前12年頃、今では世界遺産、 ユリウス・カエサルが築いた植民都市というローマ時代のアルルを偲ぶ建造物です。 午後5時20分、まだ陽が高い。 柱の上部は切り取られ、古代の遺跡、という感じが出ていますが いったい、切り取ったのはいつ頃、誰の仕業なのでしょう。 この劇場は5世紀初頭までは使われ続けていたのですが、 中世には、教会の建造のための大理石切り場になってしまいます。 石の格好の材料として、建物からはぎ取られた訳です。 ・・・という訳で、石を切り取ったのはキリスト教会でした。 (ローマのコロッセオもサン・ピエトロ大聖堂を造るのに使われましたね。) ここに並んでいるのははぎ取られたのち、少し残った石なのでしょう。 冒頭の写真の箇所を遠くから眺めています。 糸杉の手前に今は柱は二本残っているだけですが、 円柱から右手にかけて建物(=舞台の後側)が建っていたのです。 手前にある「鉄板」は、現在使用されている移動式舞台装置で、その下は石が切られた跡です。 遺跡を傷つけないように工夫してあるのでしょう。 やっと登場しました・・・ここが古代劇場の観覧席です。 (中世の歴史はどうだったか・・・ wikipediaによると) 6世紀から7世紀頃、劇場跡は城砦化され、写真奥の「ロラン塔」などの塔も据え付けられた。 その後、次第に、劇場敷地内は住宅や路地で切り分けられるようになっていった。 (円形闘技場でもそういう時代が有りましたが、ここも中世にはビックリする状況だったようです。) 1755年から1789年に、二本の柱が見えていた修道院の中庭から、劇場跡は再発見された。 この発掘作業は1825年、当時のアルル市長のお陰で着手された。 当時、観客たちが見たのは、演劇だったそうです。ここで見る劇はいい雰囲気でしょうね! そして、今もここは現役の劇場なのです。 毎年、ここはプロヴァンスの衣装祭やアルル写真祭の会場や、コンサートやバレエにも使われているそうです。その様子はこちら。 ローマ時代、この劇場では肉声で演じられ、それを1万人の観客が見ることができました。 舞台の後ろ、現在は円柱が2本残っているところに、絵に有る建物が有って音の反響板になっていたのでしょう。 他の都市のローマ劇場跡では観覧席は山の斜面を利用して設けられる場合が多いのですが、 この劇場はそういう形では無く丘の頂上に建てられています。 緑の草と遺跡。・・・つわものどもが夢のあと。 石切りした残骸に、装飾のディテールが残っています。ここは日当たりのいいところ、 でも、木の陰の石にはコケが生えて、時代を感じさせます。 ここは子供たちの格好の遊び場所です。歩き疲れた私は・・・ ここでのんびりゆっくり、 座って、眺めていました。 目の前でジャンプして枝にしがみつこうとしていた子供。 私がちょっと引っ張って枝を降ろしたのです。 花が咲いていましたが何の木だったでしょう。 冒頭の写真のマドモアゼルの家族が集合して帰るようです。 もう、午後6時前、閉館ですと掛りの方が言うまで、ここでのんびりしていました。 次回は出番待ちだった仙台編。 アルル編の続きは「ローヌ川の夕暮れ時」です。 にほんブログ村 ランキングに参加しています。・・・ただいま第2位です。 ↑応援のクリックお願いします!
by ciao66
| 2010-05-22 15:37
| フランス紀行2010
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Comments(8)
アルルの古代劇場、ずーっと昔に見たギリシャのヘレデス・アティクスの音楽堂を思い出しました。
やはり、音響を反響させる工夫がされていたのでしょうか。 アルルの場合は今も現役というのが凄いですね。
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ciaomami
at 2010-05-22 21:03
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何千年も前の人類が円柱を造り出すのってすごい労力が必要だっただろうな~と感慨深いです
そこに装飾を施すなんて、美しいものを残したい、創りたいという人間の精神は進化していないんですよね 後世になると歴史って100年単位で表現されたりしますよね 20世紀は「破壊の時代」で1ククリにされてるんだろうな・・・と最近思います 戦争は経験していないけど20世紀に生きた人間として、ちょっと悲しいです でも、教会建築の為に過去の遺産が破壊されたことは、そのおかげで素晴らしい建築物が存在しているから嬉しく思います(^^;
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ciao66 at 2010-05-22 21:23
ciaomami 様、成る程どうやって造ったんだろう?とはあまり考えもしませんでした・・・(汗)。
言われてみると、確かに凄いことですね。 ローマ時代の建築物は、キリスト教にとって異教の神々の為の施設だったので、 建築材料としか思えなかったのでしょうか。 私も美しい教会めぐりが好きなのですが、ここは私的には、アルルの教会よりは、この遺跡がきちっとした形で残ってほしかった・・・(笑)。
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ciao66 at 2010-05-22 21:37
変愚院様、ギリシャの音楽堂、Odeon of Herodes Atticusは行ったことが有りませんが、
凄いところのようですね。反響板が立派で、すり鉢も凄く深い! http://en.wikipedia.org/wiki/Odeon_of_Herodes_Atticus これは2世紀に出来たようなので、意外にアルルの方が古いようです。 ギリシャのも今も使われているようですよ。ギリシャも行ってみたいです・・・。
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トムソーヤ
at 2010-05-23 11:53
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塩野七生のローマ人の物語には、ローマ人の合理的な考え、生活様式そして建物群が描かれていますが、このアルルの古代劇場もそうなのでしょうね。
キリスト教徒により、建物の材料として使われ、時には住居となってしまいながら、今に至って遺跡として残っている。 ヨーロッパの歴史を感じます。 旅の途中で、現地の人たちを眺めながら、一服する様子が、見えるようです。 エトランゼだけれど、のんびりした雰囲気ですね。
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ciao66 at 2010-05-23 14:25
トムソーヤ様も 「ローマ人の物語」をご愛読でしたか!
面白い本でしたね。私は2度読みました。 ローマ帝国は圧政では無く、地元の習慣も充分尊重し、 そのうえで占領地にローマの文明を享受させたところが凄いですね。 それで空前の長きにわたり地中海全域で繁栄し、今に遺跡が残ったのでしょう。 いまの何処かの覇権国もこれを見習ってほしいものですが・・。 カエサルも合理的な思考者だったようですね。 ・・・カエサルが一つのことを行う場合、 その結果、二つ以上の事柄を同時に解決するようにちゃんと仕組んでいた・・とか。 この時はのんびりとしていましたので、そのようなことは考えていませんでしたが、 遺跡の木陰でのひと休みは、とても素敵な時間でした。
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mamejiro19 at 2010-05-23 15:03
こういう古代からの野外劇場でコンサートやバレエ見られたら、楽しいでしょう
ね~!夜なんてライトアップされたらほんとに素敵でしょうね。 時の流れに思いをはせながらこういうところにたたずむのって、いい時間ですね。 子供ちゃんたちとのちょっとしたふれあいもいいな! 古代の遺跡ってすごく想像力豊かになりそうですね~。 ついついいろんなことを妄想してしまいます^^。 イメージは中世のタペストリーとかの幻想的な世界です!
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ciao66 at 2010-05-23 21:18
野外劇場で見る劇やバレエは屋内と違った感覚で面白そうですね。
ちょっと探してみたのですが、横道にそれて、アルルのお祭りが見つかりました。 古代ローマの服装した人々が登場するのでこれも面白そうです。http://festival-arelate.com/site/ 中世のタペストリーといえば、一角獣の絵ですね。 妄想・連想ご自由にどうぞ見たいな・・・ 幻想的な世界にはここはちょうどいい感じですね。
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